研究概要 |
平成19年度は,3年度間の研究の最終年度として実態調査を継続するとともに,日仏の有機農業の相違に関わる論点について明確にするための検討を進めた。 第一に,日本における現地調査としては岩手県における山地酪農を中心に聞き取り調査を実施した。これは17,18年度の調査対象に比較して粗放的な事例を研究することによって労働投入,技術形成,消費者との提携のあり方等の諸タイプごとの特性を明確にするためであった。また,参加メンバー個々人が調査フィールドとしている地域の事例について研究会において情報交換を続けた。 第二に,フランスにおける実態調査については,パリにおいて各種の有機農業関係団体,行政機関,マルシェ,ビオ,コープ等を対象とした調査を行うとともに,スイス,リヨン周辺の有機農業を初めて調査して,すでに調査を行ったブリュターニュ地方とは異なる実態の把握とその背景事情について検討した。また,ブリュターニュ地方の有機農業については,17,18年度に訪問した有機農家のその後の展開等を調査し,短期間に相当に大きな変化が生じている事実を確認し,その理由について考察した。 以上の作業を中心にしつつ,両国における関連農業統計の加工を行い,行政機関,政策の影響の相違等についても検討を進めて報告書を作成することとした。
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