研究概要 |
本研究では,生命活動を媒介とする炭素・窒素の物質循環と流域水循環とを結合させた,流域水循環・物質循環モデルの開発を目指し,以下の具体的な研究目的に沿って研究を進めている。 (1)流域物質循環モデルの基礎をなす水文モデルの構築 (2)対象流域内における炭素・窒素の収支構造の分析・モデル化 (3)土壌の状態に応じた土壌細菌相の機能の定式化 (4)上記3モデルの結合による流域物質循環モデルの構築 本17年度は,国内で栃木県那須野ヶ原,海外でインドネシア・チダナウ流域を当面の研究対象地域として,現地調査を実施し,水文・水質・土壌関係の基礎データの収集を進めた。また,チダナウ流域において流域物質循環モデルの基礎をなす水文モデルの構築を図り,この成果を農業土木学会論文集に発表した。また,この水文モデルに窒素負荷の挙動を付加した水質水文モデルの構築を試み,一定の成果をあげつつある。さらに,チダナウ流域において,種々の窒素負荷発生・排出量および流出負荷量の把握に基づき,流域内における窒素の収支構造の分析を進めるとともに,CODを指標に有機物負荷の流達・浄化を分析した。これらの成果(4件)は,農業土木学会大会講演会(2005年8月)において口頭にて発表された。一方,炭素循環に関する研究では,タイ国南部の湿地林を対象に,樹木の呼吸量,炭素吸収量の定量的な分析が進められている。
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