研究概要 |
近年の多発する地震ならびに,老朽開水路の更新を背景に,開水路のパイプライン化が進展してきている.しかしながらパイプラインは,曲がり部を多数有する複雑な構造物であるため,現在の設計では,パイプラインの曲部に発生するスラスト力に抵抗するために,コンクリートブロックを打設し,その背面の受働土圧で支持する設計となっているが,これらは重量構造物であり地震時等に他の部分と位相差が生じるため,逆に弱点となっている.この様な背景より,軽量な耐震性を考慮したスラスト防護工法の研究開発が急務であると考えられ,当課題に着手した.具体的な研究開発の流れとそのおもな成果を以下に示す. H17年度より,ジオグリッドを活用したスラスト防護新工法の提案を行うとともに,小型模型埋設実験を遂行し,提案工法の基本特性ならびにその有効性について明らかにした.さらにH18年度は,大規模なφ300模型管路を対象に大規模な埋設実験を遂行し,当工法の安全性ならびにジオグリッドの伸びを考慮した新設計手法の提案を行った.最終年度では,(独)農村工学研究所の所有する大型3次元振動台を用いて,提案耐震工法ならびに従来工法であるコンクリートブロックを用いたφ200の模型パイプラインを対象として,大規模な振動台実験を実施し,定量的な評価を行い,耐震性の評価ならびにその挙動特性について検討した.さらに,(独)水資源機構の協力を得て,φ800実用管路にて,当工法の施工性・安全性の確認までを遂行した.
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