研究課題
本研究課題は、食品デザインにおいてこれまで行われてきた人間の意識的かつ主観的な判断に基づく食味・食感の定量化ではなく、食品摂取によって変化する生体信号に基づいて人間の無意識下における食品感性を定量化する方法の開発を目指すものである。さらに、開発した食品感性定量化法によって、実際の食品デザインを行うプロセスの確立を目指している。本研究課題では各種生体信号について同時進行でその研究を行っており、ここでは18年度(2年目)における各生体信号研究の進捗について述べる。脳波について、感性情報処理に必要となる基礎的信号処理手法の開発を中心に行った。摂食時記録脳波の解析法の開発を行う一方、多次元脳波の因果性解析手法の理論的研究を行った。腸音については、初年度において、摂取する食品の違いによって腸音発生頻度に変化が現れるかどうかを確かめるために20人程度の被験者を用意し、栄養士・看護師監修の下で作成した複数のメニューを被験者に与えて腸音の計測を行って得られたデータの解析を行った。なお、計測した腸音データは、被験者による違い・食前食後の時間経過・消化し易さによる違い、のそれぞれが反映されるよう組まれた実験仕様の下で得られたものである。脳血流については、初年度に引き続き、fMRI実験のタスクとして被験者の嗜好を最優先に選択した食品メニューを用意し、それを摂取しながら計測を行った。さらにこれらに加えて、腸音解析との関連として非常に重要な因果関係を持つと考えられる胃電図の計測および解析も試みた。以上のように、脳波については解析理論・手法の開発を行い、腸音およびfMRIについては食品感性パラメータ抽出を可能とすると思われる食品サンプル群を用いた測定データの収集および解析を行い、さらに研究上の必要性から胃電図の測定および解析を行い、それをもって18年度(2年目)の研究実績とした。
すべて 2006
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IEEJ Trans. on Electrical and Electronic Eng. (電気学会共通英文論文誌) 1・4
ページ: 408-416