研究分担者 |
若槻 尚斗 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 講師 (40294433)
川村 洋平 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 講師 (40361323)
佐瀬 勘紀 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構農村工学研究所, 農村総合研究部・農業施設工学研究チーム, チーム長 (80373223)
奥島 里美 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構農村工学研究所, 農村総合研究部・農業施設工学研究チーム, 上席研究員 (10373226)
石井 雅久 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構農村工学研究所, 農村総合研究部・農業施設工学研究チーム, 主任研究員 (10343766)
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研究概要 |
本研究は大規模空間における作物生育環境における様々のパラメータをモニタリングするための新しい手法を提案するものである。大規模空間において気温や風速などをモニタリングする場合,従来は多数のセンサを配置する必要があった。音響波は気温や風速を反映して見かけ上の音速が変化することに着目し、測定のための理論を整備した(第2章)。これに基づき,音波伝搬時間を精密に測定することにより音波の伝搬経路に沿った気温や風速の空間平均値を測定することができる音響波プローブを構成した(第3章)。音響波プローブを用いて実際に作物の生育環境のモニタリングの一環として,ハウス内温度・霧・浅層地中探査及び土質評価を行った(第4章)。大規模空間での計測に対応するため,音響波プローブの長基線化とセンサ間での情報の授受に無線ネットワークを用いることによりネットワークセンサを構成しシステム全体のシンプル化を図った(第5章)。ネットワークセンサを用いて生育環境パラメータの分布測定を行った。音響センサを対象領域の周囲に配置し,CT法により風向・風速分布および温度分布のモニタリングが可能であることを示した(第6章)。さらなる大規模化に対応し空間における生育環境のパラメータを系統的にモニタリングするため,ネットワークセンシンググリッドによる計測を提案した。これは対象空間内に音響センサをグリッド状に分散配置し,任意の音響センサの組み合わせでパラメータを取得し,測定値をコントローラに集約するものである。ユニットセルの考え方を導入することによりシステム全体を高い自由度で構成できる。実験では一つのユニットセル内でマトリクス法を用いて温度分布を求めている(第7章)。 本研究で得られた成果は,大規模植物工場における環境制御,就業者の快適な労働環境の確保,収穫量の増加などにつながり,ひいては施設園芸技術・広く産業の発展に貢献できるものである。
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