電気インピーダンス・トモグラフィ(Electrical Impedance Tomography、以下、EIT)の画像再構成における計算性能の向上を目的に、Matlabコードの改善を行うと共に、有限要素法による順問題解法の最適化のためにMatlabコードの出力可能な数値計算ソフトウェアCOMSOL multiphysics(以下、COMSOL)と高性能パソコンを導入した。 異物を含む不均一な導電率分布の試料を仮定し、試料周囲に設置した電極間インピーダンスを、COMSOLを用いて予測した。予測値と実測値の比較により、電極位置の影響を調べた。その結果、電極位置の精度低下に伴うアーチファクトの発生を確認した。これに伴い、ステンレステープを用いた電極プローブでは、電極位置と電極インピーダンスのバラツキから、アーチファクトを発生し易いことがわかった。 データ収集における試料内の電流密度分布について、同様な計算機シミュレーション手法により調べた。neighboring法とopposite法における試料内電流密度の分布を比較、考察し、opposite法がより均一な電流密度分布となることを確認した。 異物として、金属片、プラスチック片等をミンチ肉に埋め込んだハンバーグ試料を、環状電極プローブ内に設置し、EIT画像の取得を試みた。その結果、試料断面積に対して、約5%程度の大きさの異物については、その位置、大きさと試料に比した導電率の大小を判別できることを明らかにした。 上記の成果の一部を、農業環境工学関連学会2006年合同大会(北海道大学札幌キャンパス、2006年9月11〜15日)にて報告した。
|