研究課題/領域番号 |
17380157
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小林 泰男 北海道大学, 大学院農学研究院, 教授 (50153648)
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研究分担者 |
竹中 昭雄 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 畜産草地研究所, 室長 (40155031)
三森 真琴 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 畜産草地研究所, 研究員 (40418588)
田島 清 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 畜産草地研究所, 研究員 (80343953)
松井 宏樹 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 助教授 (30346001)
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キーワード | 難培養性細菌 / ルーメン / 16SrDNA / 繊維付着 / 繊維分解 / 集積培養 / スクリーニング / リアルタイムPCR |
研究概要 |
北大ではウマ、エゾシカ、ヒツジから、畜草研および三重大では各々ウシおよびダチョウからルーメンまたは大腸内細菌16SrDNAのクローンライブラリーを作成し、解読配列のミニデータベースを構築した。この中から標的となる繊維付着性未知菌群U2をわりだし、そのリアルタイムPCR定量系およびFISH検出系を確立した。これらを用いU2の分布動態解析を行うことで、集積条件を特定した。すなわち、イナワラ茎部を6時間ルーメンに浸漬培養すると、U2の存在比率を最大化できることを見出した。 この条件でU2を集積したイナワラを嫌気的に処理しロールチューブ培養したが、その際グラム陰性菌を増殖阻害するフェニルエチルアルコールを培地に添加することで、グラム陽性菌であるU2の選抜効率を高めた。得られた209個のコロニーを解析に供したところ、U2に属する菌株をひとつ得た。本株は純粋培養下できわめて増殖が遅いが、たしかに繊維付着能力を有するとともに、キシラン分解酵素活性を示した。これらのことから、本株は直接セルロース分解にかかわるよりも、むしろそれと共存するヘミセルロースの消化に関わっているものと推察された。 さらにエゾシカのクローンライブラリーのうち木質繊維を常食とする冬に検出される未知細菌群A(UA)に着目し、その集積素材としてミズナラ樹皮粉末が有効なこと、さらに元環境を模倣するためのエゾシカルーメン液を使用した際に、より有効な集積が図れることを発見した。UAはグラム陰性菌であることが分子系統分類上、わかっていたので、グラム陽性菌の増殖を阻害する抗生物質を培地に添加培養することで、UAのスクリーニング効率を高めながら、現在分離・培養化に努めている。 以上のように、初年度に構築したライブラリーの解析結果を基盤に、ひとつの未知菌群の集積と分離・培養化までこぎつけた。分離・培養化の戦略はきわめて理論的で、さらに新しい菌株の取得および機能評価が期待できる。
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