研究課題/領域番号 |
17380157
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
畜産学・草地学
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小林 泰男 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (50153648)
|
研究分担者 |
竹中 昭雄 農業食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所, 研究チーム長 (40155031)
三森 真琴 農業食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所, 研究員 (40418588)
田島 清 農業食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所, 研究員 (80343953)
松井 宏樹 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 准教授 (30346001)
|
研究期間 (年度) |
2005 – 2007
|
キーワード | 草食動物 / 消化管細菌 / ルーメン / 未培養 / 分離培養 / 大腸 / 生理生態 / 保有酵素 |
研究概要 |
本研究は草食動物消化管の未培養細菌群の生理・生態を明らかにし、繊維質の消化メカニズムも解明に近づこうとするものである。主に反芻家畜(ウシおよびヒツジ)のルーメン細菌に焦点を当て、これまでDNAレベルで存在のみ認識されていた菌群の分離・培養にチャレンジした。またウマやダチョウの大腸微生物の解析も手がけた。ルーメン内繊維付着性菌群U2は独自に開発したFISH法により牧草茎部に多く存在すること、それらはナイロンバック法で茎部をルーメンに浸漬することで容易に簡易集積できること、抗グラム陰性菌用の抗生物質を添加した液体培地内でさらに集積可能なことを明らかにした。その後PCRスクリーニングを活用することで多くの菌株の中からU2に属する2株の単離に初めて成功した。これらはいずれも繊維付着能を有し、マルラーゼは持たないがセロビオヒドロラーゼを、またキシラナーゼのほかに極めて高いアラビノフラノシダーゼ活性を有することをつきとめた。以上のことから、U2に属する細菌は、単独で繊維質を分解するのではなく、セルロース分解者の近傍に位置し、セルロース分解産物を利用すること、またセルロースを取り巻くヘミセルロース、とくにその側鎖を解離することに貢献しているものと推察された。大腸の細菌遺伝子ライブラリーから、ダチョウおよびウマは既知繊維分解菌の系統的近傍に未知の菌群を多く有していること、ウマは和種馬に特有の菌群が多く存在し、それらが和種馬の繊維分解に貢献している可能性があることを示唆できた。また和種馬は軽種馬にはほとんどみられない大型の繊維分解性プロトゾアを大腸に多く有していることを見つけた。これらの結果は、草食を規定する消化管微生物相の多様性とこの研究領域の奥深さを強く示唆するものであり、いっそうの解析の必要性が感じられる。
|