研究概要 |
研究実績の概要 安全な炭化条件の確立とBSE対策の機能を有すると共に、二酸化炭素炭素排出量削減、窒素の過剰固定防止、硫黄化合物排出による大気などへの汚染防止等の環境保全と将来の枯渇が懸念されるリンの散逸防止を満足する炭化処理方法について検討した。 1.BSE感染性評価 平成17年度に農業・生物系特定産業技術研究機構動物衛生研究所プリオン病研究センターP2実験室内において炭化実験装置を用い、この炭化温度・時間の最低範囲でBSE感染ハムスター脳(農業・生物系特定産業技術研究機構動物衛生研究所プリオン病研究センター作出)を炭化した。さらに骨炭製造ガイドラインの再検討を目的としてBrownら(2000)の報告の追試確認のために、BSE感染ハムスター脳を同じ温度条件で炭化した。これらの炭化試料をP3実験室内で正常トランスジェニックマウス脳に接種した。一年を経過してBSE感染性は認められなかったが、慎重を期すため、さらに平成18年度に引き続き、BSE感染マウス脳の炭化試料を用いるBSE感染試験を継続し、肉骨粉,家畜屠体,屠畜場から排出される動物性廃棄物等の安全な炭化条件について検討した。コントロール(未処理)の接種マウスはウェスタンブロット法で5頭の全頭でPrP^<res>が確認され、BSE感染により45日以内に死亡した。炭化処理(400、600、800℃)及び灰化処理(600℃)のいずれも525日接種経過後の検査の結果、PrP^<res>は確認されず、BSEの感染は認められなかった。 2.トータルシステムの構築 平成18年度に引き続き、処理水は膜分離によってアミン等の有機性物質のプロセス外部への排出を防ぎ,かつ,その確認を常時行うトータルシステムを開発した。肉骨粉の炭化に際し、少なくとも製造した炭化物が十分な市場価値を持っていることが今回の前提である。この点から、吸着剤としての機能を有し、さらに土壌改良剤として施肥効果を持つ本骨炭製造システムは、現在考え得る最も付加価値を高めた未検査屠体から製造した肉骨粉の有効活用法であると考えられる。
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