研究概要 |
本研究は肉骨粉,家畜屠体,屠畜場から排出される動物性廃棄物等を迅速かつ低コストで安全な農業資材となる炭化物を製造する資源循環型骨炭化モデルの構築・設計を目的とし、BSE感染マウス脳を異なる温度条件下で炭化し、製造物をマウス脳に接種し、感染性実証試験を実施し、安全な製造条件を検討した。 1.炭化物製造試験 試料として肉骨粉やハムスター脳を用いた炭化試験において,炭化物およびその抽出物に対してラマン分光法,FTIR, SEM・EDX等によって炭化度,表両状態の観察および表面元素・官能基の分布等を検討した。その結果500℃〜600℃においても,確実に1時間程度の熱処理がなされれば蛋白質構造が完全に破壊され,炭化が進行した構造の炭化物が得られることが判明し準。 2.BSE感染性評価 農業・生物系特定産業技術研究機構動物衛生研究所プリオン病研究センターP2実験室内において炭化実験装置を用い、炭化温度・時間の最低範囲でBSE感染ハムスター脳を炭化した。さらに骨炭製造ガイドラインの再確認を目的として、BSE感染ハムスター脳を同じ温度条件で灰化した。これらの炭化試料をP3実験室内で正常トランスジェニックマウス脳に接種し、感染性試験を実施した。未処理接種マウスはウェスタンブロット法により供試マウス全頭でPrP^<res>が確認され、BSE磁染により45日以内に死亡した。炭化処理(400、600、800℃)及び灰化処理(600℃)のいずれも525日接種経過後の検査の結果、PrP^<res>は確認されず、BSEの感染は認められなかった。 3.トータルシステムの構築 膜分離によって処理水アミン等の有機性物質のプロセス外部への排出を防ぐ、安全な炭化トータルシステムを開発した。本骨炭製造システムは吸着剤及び土壌改良剤としての付加価値を高めた安全な肉骨粉の有効活用法であると考えられる。
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