研究概要 |
水分の排泄調節に重要な役割を担う、腎臓での水の再吸収の機構を明らかにするために、腎臓において発現している水チャネルであるアクアポリンの遺伝子発現を調べた。 腎臓におけるアクアポリンの発現を、AQP2,AQP4,AQP7,AQP8,AQP9,AQP12の6つのタイプについて調べた結果、AQP2,AQP4,AQP7,AQP9の4つのタイプで腎臓における発現が観察された。さらに、絶水により血中浸透圧が上昇した時における遺伝子発現の変化を調べたところ、AQP2のタイプのみが上昇し、他のタイプは、変化が見られないか減少した。AQP2は、哺乳類おいて腎臓においてのみ発現し、抗利尿ホルモンの作用により腎臓における水の再吸収に働くと考えられている。以上のような結果から、ニワトリにおいて、AQP2の発現を調べたところ、哺乳類と同様に腎臓においてのみ発現が見られ、絶水処理により浸透圧が上昇した時に、遺伝子発現も増加したことが確認された。したがって、ニワトリにおいても、AQP2は腎臓において水の再吸収に哺乳類と同様に関与していることが示唆された。 AQP4は、哺乳類おいて主に脳において発現し、浸透圧の受容体に関与していることが示唆されているが機能は明らかでない。ニワトリにおいて、AQP4の発現を調べたところ、脳、腺胃、腎臓、胸筋においてAQP4の発現が見られ、哺乳類と同様に脳において強い発現が見られた。そして、絶水処理により浸透圧が上昇した時に、脳のAQP4遺伝子発現のみ増加し、他の組織では遺伝子発現の変化が見られない減少した。これらの結果から、脳のAQP4は浸透圧調節に何らかの関与していることが示唆された。
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