研究課題/領域番号 |
17380161
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
廣岡 博之 京都大学, 農学研究科, 教授 (60192720)
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研究分担者 |
久米 新一 京都大学, 農学研究科, 教授 (90355454)
守屋 和幸 京都大学, 情報学研究科, 教授 (90159195)
間藤 徹 京都大学, 農学研究科, 教授 (50157393)
稲村 達也 京都大学, 農学研究科, 教授 (00263129)
北川 政幸 京都大学, 農学研究科, 准教授 (00144923)
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キーワード | 耕種作物 / 黒毛和種 / 窒素 / リン / カリウム / メタン発酵 / 循環 / 化学肥料 |
研究概要 |
本年度も個体レベル、農家レベルおよび耕種作物のサイドから研究を実施した。まず、個体レベルに関しては、肉牛からの窒素およびカリウム排泄量を低減するために、黒毛和種繁殖雌牛12頭および黒毛和種肥育雌牛12頭の尿並びに給与飼料を採取し、繁殖牛と肥育牛の窒素およびカリウム排泄量の実態を調査した。その結果、繁殖牛と肥育牛の尿中窒素含量には差違が認められなかったものの、尿中カリウム含量は繁殖牛が肥育牛よりも高かったことから、肉用繁殖牛でもカリウムの過剰摂取に注意することが必要と推察された。農家レベルでは、肉用牛の繁殖・肥育一貫経営牧場における窒素、リン、カリウムのフローについて定量的に把握することを目的とした。同牧場において濃厚飼料,粗飼料、糞尿、敷料および堆肥などを定期的に採取して約180点のサンプルを収集するとともに、飼料給与量、牧草生産量および牧草地への堆肥投入量を計測した。その結果、システム全体の元素の生産物/投入比は平均で窒素、リン、カリウムについてそれぞれ0.08、0.07、0.01であった。また、循環指標で表わすと、窒素、リン、カリウムでそれぞれ0.19,0.17,0.49であった。最後に、耕種作物のサイドから、メタン発酵消化液の水田への施用の効果について検討した。その結果、メタン発酵消化液を混和した土壌では、土壌培養初期に窒素の有機化が、それ以降で窒素の無機化がおこり、土壌への消化液の施用量を増加させると有機化と無機化の傾向が顕著となった。メタン発酵消化液を施用した水田では、化学肥料に比較して生育期間の短い早生品種では窒素吸収量が不足し、生育期間の長い中・晩生品種では窒素吸収量が同等か増加した。これらのことから、メタン発酵消化液は化学肥料の代替として使用できるが、消化液を施用した水田からの窒素の無機化に対応した水稲品種や作型の選定が重要であると考えられた。
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