研究課題
実験方法(1)飼料研究データの収集過去10年間の飼料研究データを主要な学術雑誌(日本畜産学会報、日本草地学会誌、肉用牛研究会報など)により収集し、飼料研究データを調査細目により、1.製品情報(材料品目、来歴、製造法)、2.利用設計情報(成分組成、消化率・栄養価、採食量)に分け、さらに技術到達度により基礎研究段階と実用研究段階に類型化した。(2)近赤外分光分析による飼料情報の簡易・迅速測定法の開発近赤外分光分析の検量線を作成するために、主要な製造副産物(ビール粕、トウフ粕、米ヌカなど)を全国より収集し、検量線の作成のための化学分析を現在実施中である。(3)飼料特性を格段に改善しつつ保存性を改善するため、製造副産物の中で特に保存が難しいトウフ粕を対象に、麹菌(Aspergillus Oryae)をサイレージ添加製剤として活用した場合の有利性を検証した。トウフ粕に(水分含量90%)を乾燥トウフ粕と混合して水分含量60%に調整し、1Lプラスチック容器に950g詰込んでサイレージ調製し、45日間室温で保存した。処理区は、無添加区(対照区)、乳酸菌(Lactococcus lactis subsp.lactis)0.2%添加区、米麹5%添加区(OZ-RG5%)、米麹10%添加区(OZ-RG10%)、豆麹5%添加区(OZ-SB5%)、豆麹10%添加区(OZ-SB10%)の6区とし、それぞれ3反復で行った。結果の概要(1)文献を調査しデータベース化を図った結果、製造副産物は19種類で、38の報告(うち総説10報告)があるが、供試した製造副産物の来歴や製造法を明記した論文は少ない。また、成分組成のみ(インビトロ消化率も含む)が2報告、発酵品質までが5報告、消化率・栄養価までが13報告、生産物の評価までが8報告で、基礎研究段階と考えられる論文の割合は約9割であった。繊維の分析法が粗繊維(CF)、中性デタージェント繊維(NDF)、酸性デタージェント繊維(ADF)、総繊維(OCW)と論文により異なる。今後、調査冊子の範囲を広げて調査する必要がある。(2)麹菌添加区(OZ-RG区、OZ-SG区)は乳酸菌添加区よりもpHが低く、乳酸発酵が促進された。また、OZ-RG区よりOZ-SG区でpHが低く、乳酸含量が高かった。以上の結果から、良質のトウフ粕サイレージを調製するためには豆麹菌を5から10%添加することが適切である。
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日本草地学会誌 51
ページ: 281-288