研究課題
本研究は牧草における耐寒性に関する分子育種技術を確立するために、以下のことを行う。1)糖代謝系遺伝子に着目して、RNA干渉法を利用して遺伝子の発現を抑制させた形質転換植物を作成して、その代謝機能情報を解明する、2)低温誘導遺伝子の転写因子を単離・同定してその機能を明らかにする、3)糖代謝関連遺伝子のゲノム情報から、選抜に有用なDNAマーカーを開発する。本年度得られた主要な研究成果の以下のようである。ペレニアルライグラスから単離されたスクロース-スクロース1-フルクトシルトランスフェラーゼおよびスクロース-フルクタン6-フルクトシルトランスフェラーゼの2つのフルクタン合成酵素遺伝子に関して、dsRNA発現ベクターを構築して、パーティクルガン法およびアグロバクテリウム法によりペレニアルライグラスの種子由来カルスへ導入を行ったところ薬剤耐性カルスを得ることができた。これらのカルスについて遺伝子機能解析したところ、フルクタン合成酵素遺伝子の発現が抑制されていたのでRNA干渉を確認することができた。しかしながら、カルスに再分化能がすでになく、植物体再生まで至らなかった。また、ペレニアルライグラスの低温応答転写因子CBF(C-repeat Binding Factor)/DREB(Dehydration-responsive Transcription Factors)ホモログ遺伝子には2つのタイプ、低温処理後直ちに遺伝子が発現されるが、しばらくして発現がなくなる遺伝子群および低温処理期間中常時発現する遺伝子群があることを明らかにした。なお、これら2つのタイプの座乗連鎖群は異なっていた。これまでのフルクタン合成酵素遺伝子群、スクロース合成酵素遺伝子に加え、スクロースリン酸合成酵素遺伝子の単離および個体を識別できるDNAマーカーを作成した。
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