研究課題/領域番号 |
17380164
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
阿部 宏之 東北大学, 先進医工学研究機構, 助教授 (10375199)
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研究分担者 |
横尾 正樹 東北大学, 先進医工学研究機構, 助手 (10396541)
珠玖 仁 東北大学, 環境科学研究科, 助教授 (10361164)
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キーワード | 電気化学イメージング技術 / 細胞機能評価 / 細胞呼吸計測 / 走査型電気化学顕微鏡 / 家畜生殖細胞 / 体外受精・胚培養 / ミトコンドリア / 先端計測機器開発 |
研究概要 |
本研究では、局所領域における生体反応を高感度で追跡できる電気化学的計測技術を応用した家畜生殖細胞の呼吸計測法を確立し、これを応用した細胞機能評価システムの開発を目指している。本年度は、電気化学的計測技術の基盤となる走査型電気化学顕微鏡を用いたウシ胚呼吸量計測の要素技術と計測周辺技術を検討するとともに、呼吸計測の有効性を検証するためにウシ胚の微細構造解析や細胞生物学的解析を実施した。その結果、以下の研究成果が得られた。 1.呼吸計測のための要素技術開発:白金電極を2-3μmにエッチング加工した微小電極を用いることで、単一の胚盤胞の呼吸量計測に成功した。従来は、先端径が10μm以上の白金電極を用いて呼吸計測が試みられてきたが、計測感度が低く単一胚の呼吸計測は不可能であった。本研究では、エッチング加工技術の導入により高感度微小電極の作製が可能となり、単一胚の呼吸量計測が可能になった。 2.卵子及び胚の呼吸測定:体外受精後の種々の発生ステージ胚の呼吸量を測定した結果、桑実胚から胚盤胞において顕著な呼吸量の増加が測定された。 3.ミトコンドリアの微細構造解析:受精直後から胚盤胞の発生ステージの胚において、細胞呼吸に関与するミトコンドリアの微細構造変化を透過型電子顕微鏡で観察した。その結果、呼吸活性が高くなる桑実胚から胚盤胞にかけてミトコンドリアが発達し、呼吸量の増加と一致することが明らかになった。これらの結果から、走査型電気化学顕微鏡を用いたウシ胚呼吸計測技術は、単一胚の呼吸量計測に有効であることが示された。 4.装置開発:ウシ胚用培養液をベースとした呼吸測定液を試作し、性能評価を実施した。TCM199と類似の組成をもつ計測液は、ウシ胚の呼吸活性や胚発生能に影響しないことが明らかになった。本年度の研究により、走査型電気化学顕微鏡をベースとした計測装置開発に関する要素技術の基盤が構築できた。
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