研究課題/領域番号 |
17380165
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
麻生 久 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (50241625)
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研究分担者 |
山口 高弘 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (20111297)
大和田 修一 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教 (00183244)
渡邊 康一 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教 (80261494)
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キーワード | 牛筋肉内脂肪前駆細胞株 / BIP細胞 / ブタ筋肉内脂肪前駆細胞株 / PIP細胞 / オクタン酸 / オレイン酸 / FAT / CD36 / FATP1 |
研究概要 |
反芻動物の脂肪交雑機構の特徴を明らかにする目的で、単胃動物のデュロック種ブタから世界に先駆けてブタ筋肉内脂肪細胞株(porcine intramuscular preadipocyte: PIP)の樹立とその脂肪細胞分化誘導系の確立に成功した。ウシの細胞株ではオクタン酸単独で脂肪細胞分化が誘導されるが、ブタの細胞株ではオクタン酸にオレイン酸を添加することにより脂肪細胞分化が誘導されることが、本研究により明らかとなった。脂肪細胞分化誘導過程でのPPARγ発現様式はウシとブタでは異なり、反芻動物の脂肪細胞分化機構は単胃動物に比較して独自の経路を有することが判明した。細胞内TG量の変動および脂肪分化マーカーの発現解析から、PIPの分化誘導にはオクタン酸・オレイン酸の共刺激が有効で、特にオクタン酸の刺激効果が強いことが判明した。長鎖脂肪酸取り込みタンパク質であるFatty acid translocase(FAT)/CD36とFatty acid transport protein1(FATP1)に着目しPIP細胞の分化過程での発現を検討した。FAT/CD36は分化初期に脂肪酸刺激によって急激な発現上昇が起こり、分化後期にはその発現は減少傾向にあった。また、FATP1はオクタン酸の刺激により分化誘導4日目まで発現が上昇し、オレイン酸にはこの発現上昇効果を高める働きが見られた。これらの長鎖脂肪酸取り込み関連遺伝子の発現上昇には、オクタン酸の刺激がより効果的であることが判明した。このことから、PIPの分化過程において、オクタン酸の刺激によって分化初期に急激にオレイン酸が取り込まれ、取り込まれたオレイン酸が脂肪合成に利用され、PIPの脂肪分化を促進させることが示唆された。
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