研究概要 |
今年度は,オーストラリア探知犬サンプルを集積中であるため,日本盲導犬協会の協力を得て,行動(性格)の評価方法について検討した。得られた成果の概要は下記の通りである。対象個体,盲導犬候補個体のうち,盲導犬となった個体(合格)および稟性的な理由で盲導犬となれなかった個体(不合格)を対象とし,以下のような解析を行った。結果の再現性を確認するために,対象個体を2グループに分けた(グループA:合格40頭,不合格37頭;グループB:合格21頭,不合格15頭)。 アンケート評価と訓練結果の関連性,アンケート項目のうち,15項目を用いて因子分析を行ったところ,グループA・Bともに5因子が抽出された。いずれのグループにおいても,第一因子は内的整合性が高く,共通した5項目を含み,‘注意力散漫'を表していた。,各因子のスコアを訓練結果と比較したところ,グループA・Bともに‘注意力散漫'スコアは合格群の方が不合格群より有意に低かった。 アンケート評価と遺伝子多型の関連性,神経伝達物質関連遺伝子多型のうち,7遺伝子14多型について各個体の遺伝子型を決定した。,遺伝子型およびアレルの有無を‘注意力散漫'スコアと比較したところ,グルタミン酸トランスポーター遺伝子における一塩基置換多型(GLT-T471C)についてCアレルを持つ群では,持たない群に比べ‘注意力散漫'スコアが低いという傾向がグループA・Bともに見られた。以上から,盲導犬適性には‘注意力散漫'が低いことが重要であり,その気質にはGIT-T471C多型が関連している可能性があるという再現性のある結果が示された。
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