本研究では脂肪蓄積の部位局在化(FAT DEPOT)に関わる候補遺伝子であるAdipogeninについてアディポジェネシスにおける機能解析を行った。Adipogeninは脂肪細胞で特異的に発現する遺伝子として、脂肪蓄積や脂肪細胞分化過程において遺伝子発現量が上昇することが知られている。しかし、Adipogeninが脂肪細胞分化の初期段階にどのような役割をしているかは不明である。そこで、Adipogenin遺伝子の機能解析のために、C2C12骨芽細胞にAdipogenin遺伝子を導入し、筋芽細胞の脂肪蓄積と脂肪細胞分化能について調査した。培養C2C12骨芽細胞にAdipogeninの発現ベクターを導入し、同細胞株に脂肪分化誘導培地にて5日間培養し、オイルレット染色により脂肪蓄積を調べた。また、細胞からRNAを抽出し、脂肪細胞分化関連遺伝子の発現を調査した。Adipogenin遺伝子を導入した細胞を脂肪分化誘導培地で培養したところ、2日目から中性脂肪の蓄積が確認され、5日目になると脂肪敵が大きくなることが観察された。しかし、今回使用した分化誘導培地ではPPAR-γ2、CEBP-αおよびLeptinなどの脂肪細胞分化マーカー遺伝子の発現誘導は確認されなかった。以上の結果から、Adipogenin遺伝子導入により細胞内の脂肪蓄積は行われるが、脂肪細胞分化関連の遺伝子発現は確認されなかった。
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