研究課題
本研究は、ウシの子宮および胎盤から細胞外マトリックス(extra-cellular matrix, ECM)成分をできるだけ化学的な変化を加えることなく抽出し、in vitroでの培養担体あるいは培養系に添加することから子宮内膜様構造体を再構成し、生体外での着床機構解析モデル作製の基盤を確立することを目的としている。本年度は、1.Ureaを主体とした溶液により抽出したECM成分の機能解析、2.ECM改変酵素Emmprinの解析、3.栄養膜細胞の培養系の検討を行った。ウシ子宮・胎盤からUrea溶液で抽出したECMは、分子量200kDaから30kDaと幅広いタンパク質成分を含んでいたが、比較的分子量の小さい分子が多くの割合を占めた。タンパク質当たりの総コラーゲン量は本法と同様のUrea溶液でマウス腫瘍細胞から抽出した市販ECM溶液とほぼ同様であった。しかしながら細胞増殖因子であるTGFβ含量は本研究での抽出液では市販品の約5倍量、IGF-1は約1/50量であった。子宮内膜由来線維芽細胞を用いて本研究の抽出液の作用を検証すると足場担体として用いた場合および培養系へ添加した場合、いずれにおいても細胞増殖を促進することが判明した。その効果はマウス腫瘍由来の市販抽出液に比べ遜色のない効果であった。ウシ胎盤で発現する遺伝子がまさにウシEmmprin遺伝子であるかを増幅産物の塩基配列解析を行うことにより確認を試みた。極めて類似した増幅産物が数種類確認されていたが、その内の1産物がウシEmmprinで有ると確認でき、ウシ子宮内膜および胎盤で当該遺伝子の発現が明らかとなった。三次元的な共培養系を開発するため、界面活性剤の一種である温度感受性高分子(Pluronic)を用いた培養法を検討し、本高分子とI型コラーゲンを混合することにより栄養膜細胞の培養可能な方法を開発した。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (6件)
J Reproduction Development 53
ページ: 1-11
Reproduction Fertility Development 19
ページ: 79-90
BMC Developmental Biology 7
ページ: 16
Cloning Stem Cells 8
ページ: 79-95
J Reproduction Development 52
ページ: 256-266
ページ: 277-285