研究課題/領域番号 |
17380177
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小沼 操 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (70109510)
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研究分担者 |
大橋 和彦 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (90250498)
田島 朋子 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助手 (90173145)
今内 覚 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (40396304)
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キーワード | チマダニ / オスダニ因子 / 抗ダニワクチン |
研究概要 |
昆虫類は、その生活環において多くの情報伝達物質が関与しており、ダニもまた例外ではない。成メスダニは誘引フェロモンを分泌しオスを誘導し交尾に至る。このときメスダニはオスから精子とともに産卵のために必要な吸血を誘発する因子も受け渡される。この因子によってメスは活性化(吸血欲が促進)され吸血に至り、7日程の吸血期間を経て、飽血落下後産卵する。オスから移行した因子はメスの体内で留まり吸血量促進、吸血時間延長および産卵量増加などの作用も同時にもたらす。この因子を同定しワクチンとして応用することが可能ならば、吸血時にメスダニの体内でこの因子を不活化できることが期待される。このことはダニワクチン接種などにより、ダニによる吸血を阻害するだけでなく、ダニにより媒介される各種病原体の伝播(感染)をも防御できることが期待される。 本研究は、交尾時にオスダニからメスダニへ精子とともに伝播される吸血促進因子を応用した新規抗ダニワクチン開発のための基礎的知見を得ることを目的としている。 アフリカ諸国において牛の致死的病原体であるT.parva(タイレリア症)を媒介するRhipicephalus appendiculatusをターゲットとしたオスダニ因子の同定を試みている。交尾中のオスダニの精巣よりRNAを抽出後、遺伝子発現ライブラリー(cDNA)を調整し発現遺伝子解析法(Expressed Sequenced Tag:EST法)によりオスの精巣に特異的に発現すると考えられる一遺伝子を同定した。RT-PCR法による本遺伝子の発現時期や発現部位を確認した結果、オスダニの精巣に特異的に発現する遺伝子であり、本因子のタンパクレベルでの発現も確認済みである。現在、本因子のメスダニへの影響をマイクロインジェクション法やRNAi法による機能解析を進めるとともに、ウサギを用いたワクチン試験で抗ダニ効果を検討中である。
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