研究課題/領域番号 |
17380178
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
稲波 修 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (10193559)
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研究分担者 |
堀内 基広 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (30219216)
苅和 宏明 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (70224714)
稲葉 睦 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (00183179)
桑原 幹典 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10002081)
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キーワード | BSE / プリオン / 構造生物学 / 電子スピン共鳴 / スピンラベル / 双極子相互作用 / 分子間距離 / 銅イオン |
研究概要 |
正常型PrPbはCu^<2+>結合タンパク質であり、現在、プリオン病発症と金属イオンとの関連が議論されている。本年度はCu^<2+>が結合しうるH95領域の近傍に部位特異的スピンラベル剤を導入し、Cu^<2+>とニトロオキシドラジカルとの分子間内距離の電子スピン共鳴法(ESR)による新たな計測技術を確立した。さらにPrPcとCu^<2+>との新たな結合様式を同定した。具体的には、マウス組み換えプリオンタンパク質を作成し、部位特異的にN96、Q97、W98、T106、V111、D144およびT190をシステイン残基に改変したタンパク質を調製した。H95AとH110Aについても作成した。また、これらシステイン残基に改変したプリオンタンパク質にNオキシルスピンプローブと反応させ部位特異的ラベルを行った。得られた試料はさらに50%グリセロールのラベルタンパク質溶液として調製後、-10℃にて、X-バンドESRスペクトロメーターにより測定を行った。その結果、N96C、Q97C、W98C、T106CならびにV111Cから得られたESRスペクトルからこの領域の20オングストローム以内の距離にCu^<2+>イオンが配位している事が明らかとなった。このことからこの領域のCu^<2+>が結合しうるヒスチジン残基としてH95とH110の二つが予想された。そこで、V111にスピンラベル剤を導入してこのH95とH110を同時にアラニン(A)に変異させたところ、Cu^<2+>の配位が見られなくなった。しかし、'H95AあるいはH110A単独ではこの領域に依然としてCu^<2+>が配位している事を示すシグナルが観察された。この事はCu^<2+>がH95とH110に挟まれる様な形で配位している事を示している。この新たなCu^<2+>配位構造はプリオンタンパク質の性状を明らかにする上で有用な基礎的情報となると考えられる。
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