研究課題/領域番号 |
17380179
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堀本 泰介 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (00222282)
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研究分担者 |
高田 礼人 北海道大学, 人畜共通感染症リサーチセンター, 教授 (10292062)
五藤 秀男 東京大学, 医科学研究所, 助手 (50323639)
安田 二郎 科学警察研究所, 法科学第一部, 室長 (10282518)
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キーワード | 高病原性鳥インフルエンザ / H5N1 / ワクチン |
研究概要 |
今日、人類は新興再興感染症の脅威に晒されている。そのほとんどは人畜共通感染症である。特に、鳥インフルエンザ、SARS、肺炭疸といった空気伝播性の呼吸器侵襲感染症が最も恐れられている。本研究では、これらの感染症に効果的な人体あるいは動物用の新規療法の開発を最終目的とする。本年度は、高病原性鳥インフルエンザウイルスのワクチン開発の緊急性に鑑み、当初の計画を一部変更し、その不活化ワクチン作製のためのシードウイルス候補株の構築に関する研究を実施した。H5N1鳥インフルエンザウイルスが世界中に蔓延する様相を示しているが、その人への感染を防御する方法として、抗インフルエンザ薬の備蓄と予防ワクチンの開発が緊急課題として挙げられている。ワクチン開発に関しては、現在WHO協力ラボで作製されたNIBRG-14というワクチンシードウイルスを用いた不活化ワクチンが試作され、日本を含めたいくつかの国で臨床試験が行われている。そこで浮上してきた問題がこのシードウイルスのワクチン製造母体である鶏発育鶏卵における増殖性の悪さである。実際のパンデミック発生時には、発育鶏卵の供給が低下する可能性が高いため、この増殖性を改善することは非常に社会的要求の高い課題である。今回私たちは、リバースジェネティクス解析によりワクチンシードウイルスの鶏卵での増殖性は、HA-NAバランスとPBI蛋白質の機能により決定されることを明らかにした。そこで、さまざまなNAを用いることによりHA-NAバランスを最適化したウイルスの作製を試みた。その結果、PR8株由来のNAを用いたときに、シードウイルスの増殖性が有意に上昇することを発見した。
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