研究概要 |
イヌとネコの大脳におけるネプリライシンの活性と発現をしらべ,投稿し,公表された。 パーキンソン病の動物モデルであるMPTP投与マウスで,病態発現の系統差をしらべた。黒質一線条体におけるチロシンハイドロキシラーゼ(HT)の発現量を病態評価の基準とした。近交系のC57BLマウスでHT発現が重度に低下したが,BALB/cマウスでは低下しなかった。非近交系のICRマウスでは一部の個体がHT低下を示した。MPTP投与パーキンソン病モデルマウスでは病態の発現に単一の遺伝子が関与している可能性が示された。 マウスおよびウシのGFP癒合βアミロイド(GFP-Abeta)を大量に作製した。これらのGFP-Abetaを離乳前後のマウスとウシにそれぞれ経口投与した。いずれの動物種でもGFP-betaは空腸から回腸のパイエル板上皮細胞だけではなく,絨毛の吸収上皮細胞からも取り込まれ,絨毛間質に分布した。この取り込みは離乳後に低下した。絨毛上皮に取り込まれなかったAbetaは陰窩深部に達していたが,この部位はプリオンタンパク(PrPc)が分布する腸管壁の末梢神経に近かった。以上の結果から,(1)経口的に取り込まれたアミロイドタンパクは胃で分解されることなく空回腸に達し,絨毛の吸収上皮から取り込まれること,(2)この取り込みは授乳期に顕著であること,および(3)取り込まれなかったアミロイドは腸管壁末梢神経に近い陰窩に分布すること,が明らかになった。また,以上の結果は動物種によらずみとめられた。本実験系は牛海綿状脳症(BSE)を研究するためのモデルとして使用でき,biosafety levelを気にすることなく,投与実験が可能になった。
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