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2006 年度 実績報告書

イヌの肺における浮遊粒子状物質(SPM)の蓄積:SPMによる生体への影響

研究課題

研究課題/領域番号 17380188
研究機関鳥取大学

研究代表者

島田 章則  鳥取大学, 農学部, 教授 (20216055)

研究分担者 高野 裕久  独立行政法人国立環境研究所, 環境健康研究領域, 領域長 (60281698)
キーワードナノ粒子 / ナノ毒性 / 空気血液関門 / 電子顕微鏡 / 大気汚染 / 浮遊粒子状物質 / シリカ / カーボン
研究概要

毒性の認められていないカーボン粒子(14nm)が肺胞上皮細胞の間隙を利用して肺胞壁の空気血液関門を突破する微細構造が確認された。その際、血管内皮細胞の飲み込み小胞を介した粒子の移動を示唆する重要所見も認められた。また、シリカ曝露実験では、異なるサイズのシリカ粒子のうち、より小さいサイズの粒子ほど肺毒性が強く、肺胞上皮細胞のアポトーシスを引き起こすことが確認された。直径14nmおよび230nmのコロイド状シリカ粒子3mgをマウスの気管内に投与した。ナノサイズの粒子曝露個体では、肺の出血性変化が投与30分後から見られた。12時間から24時間の間では、ナノ粒子曝露群においては、気管支粘膜上皮の顕著な壊死性変化および好中球浸潤像が見られた。細胞外基質成分であるラミニンの免疫染色陽性像の肺胞壁での減弱像もナノ粒子曝露群において認められた。電顕レベルでは、I型肺胞上皮細胞の変性・剥離および肺胞壁の基底膜の変性がナノ粒子曝露群で頻繁に見られた。以上の結果から、超微細粒子のほうが粗大粒子よりも毒性が強いことが示された。
より少ない投与量の超微細コロイド状シリカ粒子を用いた亜急性毒性試験を実施した。0.3,3,10,30,100μgの直径14nmのシリカ粒子をマウスの気管内に投与し、1日後から30日後までの期間内の変化(体重、気管肺胞洗浄液成分、病理形態像)を解析した。その結果、30μgの粒子は、一過性の急性炎症像を引き起こすこと、気管肺胞洗浄液の炎症性変化は病理形態像と一致すること、アポトーシス像が肺実質で認められること、活性酸素種による傷害の指標としての8-OHdG陽性所見が肺胞上皮細胞およびマクロファージに認められることが示された。以上の結果から、比較的少ない量のコロイド状シリカ粒子の肺毒性の機序に、酸化傷害およびアポトーシスが関与することが示唆された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Translocation pathway of the intra-tracheally instilled ultra-fine particles from the lung into the blood circulation in the mouse.2006

    • 著者名/発表者名
      Shimada A, Kawamura N, Kaewamatawong T, Okajima M, Inoue H, Morita T.
    • 雑誌名

      Toxicolgic Pathology 34・7

      ページ: 949-957

  • [雑誌論文] Acute and Subacute Pulmonary Toxicity of Low Dose of Ultrafine Colloidal Silica Particles in Mice after Intratracheal Instillation.2006

    • 著者名/発表者名
      Kaewamatawong T, Shimada A, Okajima M, Inoue H, Morita T, Inoue K, Takano H
    • 雑誌名

      Toxicolgic Pathology 34・7

      ページ: 958-965

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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