研究課題/領域番号 |
17380195
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研究機関 | 独立行政法人農業技術研究機構 |
研究代表者 |
川島 知之 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所・機能性飼料研究チーム, チーム長 (10355068)
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研究分担者 |
松井 徹 京都大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (40181680)
荻野 暁史 畜産草地研究所, 浄化システム研究チーム, 研究員 (70355098)
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キーワード | 発酵リキッドフィーディング / ビール酵母 / フィターゼ / リン / 豚 / 環境負荷 |
研究概要 |
循環型社会構築に向けて食品循環資源(食品残さ)の再利用が求められ、安全に利用できる食品残さについては一層飼料化を推進する必要がある。食品残さは一般に水分が高く、乾燥には多大な化石燃料を使用せざるを得ないことから、液状にして発酵調製により保存性を高める発酵リキッドフィーディングの有効性が示されつつある。フィターゼ活性の高い素材を活用して、調製段階でプレダイジェスチョンの工程を設けることにより、ミネラル特にリン等の利用性が向上され、環境負荷が低減できる可能性がある。そこで、本年度は大豆粕、トウモロコシ主体の飼料にフィターゼ活性の高いビール酵母を添加して発酵リキッド飼料を調製し、試験に供した。まず、ビール酵母を原料として調製した発酵リキッド飼料のフィターゼ活性およびフィチンリンの分解率を求めた。さらに肥育豚を用いた消化試験により、ビール酵母由来フィターゼと乳酸発酵処理の組に合わせによるリンの利用性改善について検討した。37度、24時間の発酵調製により、発酵リキッド飼料中のフィチンリンは21%分解されることが示された。また、消化試験の結果、発酵処理によりリンおよびマグネシウムの吸収が有意に増加し、カルシウムの吸収量についても増加する傾向が認められた。このことから飼料にビール酵母を添加して乳酸発酵をすると、腐敗を防ぎつつ飼料中のフィチンリンを分解でき、その結果ミネラルの利用性が改善されることが示された。
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