研究概要 |
ドミナントネガティブ型のAtSar1遺伝子をを用いて,オーレウシジンシンターゼ前駆体の輸送経路の全体像を解析し,前駆体がER→ゴルジ体→液胞という経路で液胞に運ばれることを示した.また酵素前駆体中の液胞輸送シグナル配列の必要領域ならびに機能要素を解析するため,、推定シグナル配列とGFPの融合タンパク質を植物細胞内で発現させ,その細胞内移行・局在性を蛍光顕微鏡にて観察するトランジエントアッセイ系を構築した.構築した発現コンストラクトには次のような特徴を付与した. 1.推定液胞輸送シグナル配列NSLAYに変異を導入した.2.酵素前駆体がMulti-vesicular body(MVB)経路に乗って輸送されると考えられたので,推定シグナル配列のN-末端側に存在しMVB経路におけるユビキチン受容部位と推定される三つのリシン残基をアルギニンに変えた.3.推定シグナル配列あるいはその変異体を,積み荷タンパク質のC-末端側に連結した発現コンストラクトも作成した.これらのコンストラクトをタマネギの表皮細胞やキンギョソウ花弁細胞などに導入して一過的に発現させ,GFPの蛍光シグナルの行方を共焦点レーザ顕微鏡にて観察した.その結果,推定液胞輸送シグナル配列NSLAYに変異を導入したコンストラクトでは液胞輸送が著しく阻害され,推定シグナル配列のユピキチン受容部位と推定される三つのリシン残基をアルギニンに変えたコンストラクトでも液胞輸送が著しく阻害されることがわかった.また,推定シグナル配列を積み荷タンパク質のC-末端側に連結した場合には,積み荷タンパク質は正しく液胞に輸送されたが,その推定ユピキチン受容部位に変異を導入したコンストラクトでは積み荷タンパク質は液胞膜に移行した.
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