研究概要 |
N-フタロイルアミノ酸を架橋配位子として組み込んだロジウム(II)カルボキシラート錯体およびその誘導体を用いた不斉触媒反応を検討し、本年度は以下の成果を得た。 (1)α-ジアゾエステルの分子間不斉C-H挿入反応にRh_2(S-PTTL)_4を適用したところ中程度の不斉収率で生成物が得られることが分かった。 (2)(2-ニトロフェニルスルホニルイミノ)フェニルヨーディナンをナイトレン前駆体とするシリルケテンアセタールの不斉アミノ化反応において、Rh_2(S-TCPTTL)_4を触媒に用いると最高98%の不斉収率でα-フェニルグリシン誘導体が得られることを見出した。また、2,2-ジメチルクロメンに対し(4-ニトロフェニルスルホニルイミノ)フェニルヨーディナンを用い不斉アジリジン化反応を行うと94%の不斉収率が得られることが分かった。 (3)酸素官能基一つで活性化された1,3-ジエンとアセチレニックアルデヒドとの不斉ヘテロDiels-Alder反応にRh_2(S-BPTPI)_4をルイス酸触媒として用いると、完壁なシス選択性と最高99%の不斉収率でテトラヒドロピラノン誘導体が得られることを見出し、本反応を鍵工程とするカリキシンL合成中間体の触媒的不斉合成を行なった。
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