研究概要 |
ヘリカル2次構造の制御とその機能化について、3項目:1.新規アミノ酸の設計・合成2.合成経路の最適化3.ペプチド合成を中心に研究を行った。また、4.ペプチド2次構造の解析についても研究計画を上回り若干の成果を得ることに成功した。以下、研究実績を項目毎に記載する。 1.環状α,α-ジ置換アミノ酸の設計・合成:新規なキラル環状ジ置換アミノ酸の種類を増やし、水酸基、アジド基、アミノ基、トリアゾール基、グアニジノ基等を有する環状ジ置換アミノ酸の合成に成功した。次年度への課題として収率の向上と保護基選択の問題を残している。 2.合成、反応条件の最適化:マロン酸エステルのビスアルキル化反応条件を最適化し、収率を向上した。しかし、メチルイソシアノアセテートあるいはグリシンイミンの直接アルキル化反応は、一部の基質を除いて困難なことが判明した。 3.液相並びに固相法でのホモおよびヘテロペプチドの合成、ポスト-ペプチド修飾:キラル環状ジ置換アミノ酸から液相法によりホモペプチド、ヘテロペプチドを合成した。また、ペプチドの合成は、ペプチドフラグメントとペプチドフラグメントのカップリングにより合成することが可能であった。固相法では、特に通常のL-α-アミノ酸の中にこれらの異常アミノ酸を導入したペプチドの合成を検討したが、まだ効率的なものには至っていない。アミノ酸をペプチドの中に導入してから、別のアミノ酸に変換する方法により、ペプチドの変換にも成功した。 4.側鎖上の不斉中心とペプチド2次構造の関係の解析:合成したヘテロ、ホモペプチドの2次構造解析についても、溶液状態、結晶状態、並びに分子力場計算により解析を行うことに成功した。特に、双環式ジ置換アミノ酸の側鎖上不斉中心では、ペプチドのヘリカル2次構造の方向性制御への影響が弱いことを発見した。
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