研究概要 |
ヘリカル2次構造の制御とその機能化について、5項目:1.アミノ酸の設計・合成2.合成経路の最適化3.ペプチド合成4.ペプチド2次構造の解析5.ペプチドの機能化について研究を行った。特に、項目3から項目5のペプチド合成と2次構造解析、並びにその利用について重点的に研究を行った。以下、実績を項目毎に記載する。 1.環状α,α-ジ置換アミノ酸の設計・合成:前年度に引き続き新規なキラル環状アミノ酸の種類を増やした。特に、新規なアイデアとして脱着可能な不斉中心を有するキラル環状アミノ酸の合成を行った。 2.合成経路・反応条件の最適化:合成経路として、環状ケトンからヒダントインを経由してキラル環状アミノ酸を合成する方法を新たに利用することに成功した。 3.液相並びに固相法でのペプチドの合成:α位とγ位に2つの不斉中心を有する環状ジ置換アミノ酸から液相法によりホモデカペプチドまでを両ジアステレオマーともに合成した。また、ヘテロベプチドの合成も行った。また、固相法による合成は、条件などを改良する必要があることが判明した。 4.ペプチド2次構造の解析:キラル5員環状ジ置換アミノ酸をL-Leu中に導入したヘテロヘキサペプチドのX線結晶解析に成功した。また、α位とγ位に2つの不斉中心を有する環状ジ置換アミノ酸よりなるホモペプチドのX線結晶解析にも成功し、アミノ酸のジアステレオマーとそのペプチドのヘリカル2次構造の巻き方の関係を明らかとした。ペプチドの2次構造解析は、溶液中でも行った。 5.ペプチドの機能化:ヘリカル2次構造オリゴマーを触媒として、カルコンの不斉エポキシ化反応を検討した。結果、エポキシ化体が80%ee以上で得られることが判明した。さらに、ペプチドの長さと触媒能について実験を行った。
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