研究課題/領域番号 |
17390009
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
後藤 順一 東北大学, 病院, 教授 (80006337)
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研究分担者 |
菱沼 隆則 東北大学, 病院・助教授 (20199003)
眞野 成康 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (50323035)
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キーワード | 胆汁酸 / 結合タンパク質 / アフィニティー抽出 / トランスポーター / タンパク質付加体 / リン酸化修飾 / 誘導体化 / 質量分析法 |
研究概要 |
最近、我々により腸肝循環に局在すると考えられてきた胆汁酸の脳内での存在が指摘されたことから、胆汁酸のシグナル分子としての新たな生理機能の解明が強く望まれている。一方、古くから大腸がん発症のプロモーターとしての作用が指摘されている二次胆汁酸が、ヒストンH3のN末端部リジンに特異的に結合することを明らかにしている。そこで今回、プロテオミクス手法及び分子生物学的手法を駆使して、胆汁酸の新規機能解明につき検討を加え、以下の成果を得た。 まず、リンカー部分にジスルフィド結合を導入した小分子リガンド固定化アフィニティーゲルを開発し、これを用いてラット脳内の胆汁酸結合タンパク質の探索を試みた。その結果、大脳、中脳、小脳、脳幹より共通の分子量を有するタンパク質(約31kDa)が抽出され、また下垂体からそれと異なる22kDaのタンパク質が抽出された。これらにつき、ゲル内消化後、MALDI-TOF MSにより解析したところ、それぞれ14-3-3タンパク質及び成長ホルモンであることが判明した。 ヒト及びラットDNAデータベースより見出した有機アニオントランスポーターを細胞に強制発現させ、蛍光標識胆汁酸を用いてその輸送機能を解析したところ、脳内に最も多量に存在するケノデオキシコール酸に対する輸送能が最も高いことが判明した。 ヒト培養細胞より抽出したタンパク質混合試料とデオキシコール酸アシルアデニレートを混合した後、SDS-PAGEにより分離し、抗デオキシコール酸抗体を用いてウェスタンブロット解析したところ、分子量30kDa付近に1本のタンパク質バンドが認められた。 リン酸化修飾の解析法を構築するため、p-ブロモ安息香酸にアミド結合を介して2-アミノエタンチオールを導入した誘導体化試薬を開発し、その有用性を検証したところ、リン酸化部位特異的に反応が進行し、容易に修飾部位を解析できることが判明した。
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