研究課題
我々は、FGF18遺伝子欠損マウスの表現形質の解析から、FGF18が肺、骨・軟骨形成因子として重要な役割を果たしていることを明らかにしてきた。四肢の骨を始めとする全身の主要な骨は、内軟骨性骨化過程により形成される。その過程において、FGF18は、増殖軟骨細胞の増殖と、増殖軟骨細胞から前肥大化軟骨細胞への分化の両者を抑制していた。一方、近年、肥大化軟骨細胞から最終分化肥大化軟骨細胞への分化も、内軟骨性骨化過程に重要であり、またその分化過程をFGFシグナリングが促進している可能性が報告された。従って平成17年度では、FGF18の最終分化過程に対する役割を検討した。FGF18遺伝子欠損マウス胎生15.0日胚、15.5日胚の脛骨を対象に、最終分化肥大化軟骨細胞のマーカーであるosteopontinの発現をin situ hybridizationにより検討したところ、最終分化肥大化軟骨細胞層領域の減少が確認された。従って、FGF18は肥大化軟骨細胞からの最終分化過程に重要な役割を果たすことが示された。さらに、FGF18の骨細胞分化における役割を検討した。胎生18.5日齢FGF18遺伝子欠損マウスの脛骨を対象に、骨芽細胞マーカーであるosteopontinの発現をin situ hybridizationにより検討したところ、発現の減少が確認された。従って、FGF18は骨芽細胞の成熟を促進し、骨化を正に制御していることが示された。以上の結果より、FGF18は、個体の骨形成過程において、増殖軟骨細胞の増殖と前肥大化軟骨細胞への分化を抑制するだけではなく、肥大化軟骨細胞から最終分化肥大化軟骨細胞への分化と、骨芽細胞の成熟を促進していることが明らかとなった。本研究の成果は、骨・軟骨形成機構や軟骨疾患成因の解明の一助となることが期待される。
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Molecular and Cellular Endocrinology (印刷中)
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