研究課題/領域番号 |
17390028
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
杉浦 幸雄 同志社女子大学, 薬学部, 特別任用教授 (40025698)
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研究分担者 |
根木 滋 同志社女子大学, 薬学部, 助手 (50378866)
今西 未来 京都大学, 化学研究所, 助教 (80362391)
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キーワード | 金属フィンガー / タンパク質設計 / ライブラリー / 亜鉛フィンガー / DNA認識 / 遺伝子制御 / GAGA因子 / 転写因子 |
研究概要 |
亜鉛フィンガー以外の金属フィンガーモチーフは自然界からは未発見であり、また人工的にも未だ創製されていない。結合金属の化学的特質を生かすことによって、酸化還元反応や光化学反応による活性制御が可能な全く新しい酸化還元型転写因子や光駆動型転写因子の開発を目指して研究を展開した。先ず、天然転写因子で1個の亜鉛フィンガーでDNA結合を示すGAGAファクターに対する各種金属イオンの結合性を検討したところ、コバルトが亜鉛と同程度に結合して、タンパク質を折りたたんだ構造に誘起することがわかった。興味深いことに、このGAGA-コバルトフィンガーは、強く配列特異的にDNAに結合することが示された。これはDNA認識能を持つ金属フィンガーの最初の例として、極めて価値がある。GAGA-コバルトフィンガーの分光学的、熱力学的、および酸化還元的性質を調べ、対応する亜鉛フィンガーの性質と比較検討した。しかし、コバルト以外の金属イオン(ニッケル、銅、鉄、マンガンなど)は、GAGAタンパク質には結合をしなかった。さらに、GAGAファクターのフィンガー内のアミノ酸残基の各種置換体を遺伝子工学的に作製し、そのコバルトフィンガー形成能を追究したが、いずれの置換体も明確なコバルトフィンガーの形成は認められなかった。これは、金属フィンガー形成には、フィンガーを構成するアミノ酸の組み合わせが重要であることを示唆している。本研究成果は、コバルトフィンガーが可能であり、新しい酸化還元型転写因子の設計に価値ある知見を提供していると考えられる。
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