研究課題/領域番号 |
17390031
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
早川 洋一 東京理科大学, 薬学部, 教授 (20208606)
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研究分担者 |
川崎 崇 東京理科大学, 薬学部, 助手 (00408733)
新家 一男 産業技術総合研究所, 生物情報解析研究センター, 主任研究員 (20251481)
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キーワード | 分子シャペロン / GRP78 / 小胞体ストレス / versipelostatin / 呼吸阻害剤 / アポトーシス / piericidin |
研究概要 |
固形癌内部は血管形成が不十分でグルコースや酸素の供給が乏しいため、固形癌細胞は低グルコースや低酸素のストレスに対して耐性を獲得している。分子シャペロンGRP78は低グルコースによる小胞体ストレスを抑制するが、固形癌細胞ではGRP78の発現が亢進している。土壌分離菌より見いだした新規GRP78発現阻害物質versipelostatinは、テトロン酸を含む17員環クロモフォアに3個のデオキシ糖が結合したユニークな化合物であった。本化合物のクロモフォア部分には11箇所の不斉中心が存在するが、これらの絶対立体配置を、主にNMRを用いて決定することに成功した。さらに、本研究を介してより選択性の高い誘導体を見出した。 固形癌はHIF-1αをはじめ様々な低酸素耐性因子を発現している。実際に白血病細胞を呼吸阻害剤で処理するとアポトーシスが誘導されるのに対し、多くの固形癌細胞は呼吸阻害剤に耐性である。呼吸阻害剤oligomycin存在下で癌細胞に対して選択的に細胞死を誘導する物質を探索した結果、海洋放線菌Streptomyces sp.YM14-060株からpiericidinファミリーに属する新規化合物piericidin C_7およびC_8を単離した。PiericidinC_7、C_8はoligomycin耐性のRG-E1A-R10細胞に対して、oligomycin存在下で選択的に細胞死を誘導し、そのIC_<50>はそれぞれ3.6nM、1.7nMであった。また、これらの化合物はoligomycin感受性のRG-E1A-7細胞に対して細胞死を誘導し、同じくoligomycin感受性のNeuro-2aマウス神経芽細胞腫細胞に対して増殖抑制作用を示したが、oligomycin耐性のC6細胞、3Y1細胞に対しては活性が認められなかった。
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