研究課題
1)Cancer Cell Informaticsのシステム構築・拡充胃がん21株、肝がん12株、乳がん12株を新たながん細胞パネル(JFCR45)と定め、これらのがん細胞株について抗がん剤53剤に対する感受性、および3500遺伝子の発現量を測定した。また、従来の細胞株パネルJFCR39については種々の阻害剤への感受性測定、および低分子プロテオーム解析を行った。以上をすでに取得したデータとあわせ、一括管理するデータベース(DRAMA)を作成した。DRAMAは現時点で、がん細胞計71株(JFCR39とJFCR45で13株が共通)について薬剤感受性・阻害剤感受性・遺伝子発現・プロテオームなどの情報を保持し、質の高い情報源に成長しつつある。今後DRAMAの充実をさらに進める。2)Cancer Cell Informaticsの応用と成果JFCR45に関する薬剤感受性データと遺伝子発現データの相関解析結果に基づき抗がん剤マイトマイシンCの感受性にHSPA1A遺伝子などの関与が予想され、これを実験的に検証した。新規化合物ZSTK474は、分子標的が不明であったが、JFCR39を用いたCOMPARE解析によってホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)がその標的であると予測された。PI3K阻害実験で検証したところ、この予測は的中した。分子モデル解析からZSTK474はPI3KのATP結合部位へ配位するようだ。ZSTK474は、経口投与で強力な抗癌効果を示し、毒性は軽微であった。PI3Kは有望な抗がん剤標的で、その阻害剤の開発競争は激しい。ZSTK474はPI3Kを標的とする世界初の分子標的薬になる可能性があり、今後臨床薬への開発を進める。よって、Cancer Cell Informaticsの創薬シーズ探索における有用性がシステム構築に伴い発揮されつつある。次年度さらに研究を進展させたい。
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