研究課題
母体に摂取された化学物質は容易に胎盤を通過して、胎児に到達し胎児に存在する薬物代謝酵素系によって代謝活性化されて、胎児毒性を呈すると考えられている。胎児期に特異的に発現が認められるCYP1A1,CYP1B1,およびCYP2E1分子種はいずれも成人ヒト肝では、外来性異物や多環芳香族の代謝に関与し、代謝物質の多くは活性化を受けて、発ガン性や毒性が認められる。また胎児型CYP3A7については、成人肝と同様に胎盤を透過した物質の代謝に重要であると考えられているが、詳細は不明であったことから、CYP3A7にっいての基質特異性をCYP3A4およびCYP3A5と比較検討を行った。大腸菌膜発現系CYP3A4、CYP3A5およびCYP3A7を用いて、各種薬剤の代謝について検討を行ったところ、近年使用頻度の高い抗真菌薬ボリコナゾールに関してCYP3A分子種特異的に特徴的なC-酸化体の生成が認められ、それまでの主代謝物であるN-水酸化以外に新たな代謝物として同定されるに至った。また、麻酔深度の調節が比較的容易であり、鎮静効果を有することから外科手術時に頻用されている全身性麻酔薬プロポフォールの代謝については、CYP3A4と比較してCYP3A7による4位水酸化活性は著しく低いことから、胎児肝自体でのプロポフォール代謝能は低いものと示唆された。これらの知見を踏まえ、現在哺乳類細胞でのCYP3A7発現系を構築し、薬物や母体から移行した代謝産物による胎児肝CYP3A7代謝活性への影響などについて引き続き詳細に検討中である。
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