研究課題/領域番号 |
17390037
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境系薬学
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研究機関 | 独立行政法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
青木 康展 独立行政法人国立環境研究所, 環境リスク研究センター, 客員研究員 (20159297)
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研究分担者 |
能美 健彦 国立医薬品食品衛生研究所, 変異遺伝部, 室長 (30150890)
後藤 佐多良 東邦大学, 薬学部, 教授 (10012650)
松本 理 独立行政法人国立環境研究所, 環境リスク研究センター, 主任研究員 (60132867)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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キーワード | 変異原物質 / gpt deltaマウス / ベンゾ[a]ピレン / 老化 |
研究概要 |
老化現象が変異原物質感受性に及ぼす影響を明らかにするため、in vivoでの突然変異の検出が可能なgpt deltaマウスを用いbenzo[a]pyrene(B[a]P)により肺に発生する突然変異の加齢に伴う変化を定量的に解析した。若齢期、壮年期、老齢期に相当する3、11、24ヶ月齢のgpt deltaマウスに1匹当たり1mgのB[a]Pを気管内投与した。投与14日後に解剖し肺の突然変異体頻度(Mutant Frequency、MF)を解析した。対照群についてみると、MFは3ヶ月齢(0.7x10-5)から11ヶ月齢(1.1x10-5)にかけて増加し、24ヶ月齢ではさらなる増加は認められなかった。B[a]P投与群では、MFは3ヶ月齢(2.7x10-5)で最も高く、11ヶ月齢(1.7x10-5)にかけて減少し、24ヶ月齢では再び増加した。対照群に対するB[a]P投与群の突然変異体頻度の比は3、11、24ヶ月齢でそれぞれ3,9、1.4、2.3倍であった。これらの観察から、肺での変異原物質に対する感受性は若齢期に最も高く、その後、壮年期に向けて減少し、さらに加齢が進むと感受性が増加することが明らかになった。 突然変異スペクトルを解析したところ、加齢に伴い大きな変化が認められた。対照群ではG>A塩基置換が11、24ヶ月で顕著に増加していた。それに対してB[a]P投与群では、G>T塩基置換が3ヶ月では主要な突然変異であったが、加齢に伴い減少し、その代わり、G>A塩基置換が加齢と共に増加した。代謝酵素の活性等の加齢による変化を調べた結果、B[a]Pを投与した肺中のグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)-αの発現量は加齢と共に減少し、24ヶ月齢では対照群と差が認められない程度にまで減少した。GST-πの発現量は加齢と共に増加したが、名月齢の対照群と比較して有意な差異は認められなかった。突然変異頻度と薬物代謝酵素の発現量の間に顕著な相関性は認められなかった。
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