研究概要 |
1.母親由来、父親由来のmRNA発現量の比率(AER, allelic expression ratio)を簡便に測定できる試薬をCYP3A4, CYP3A5遺伝子に対して開発した。肝試料では、mRNA, hnRNAが比較的豊富に存在することから、定量には問題のないprimer probeのセットの開発が完了した。一方、血液試料については、CYP3A5では良好な結果が得られるのに対し、CYP3A4では発現量が少なく、安定したPCR関連の試薬や条件設定が必要であった。これらの問題に対し、nested PCRの検討を加えた。その結果、nested PCRは、AERに影響を及ぼさず安定にPCRを可能にすることが明らかとなった。 2.解析領域の拡大のため、昨年に引き続き、imprinting center、CYP3A4 5'非翻訳領域の400kbの領域、計6部位において、メチル化の状況を検討した。18年度より、メチル化をより精度良く定量的に評価できる方法であるパイロシーケンスを導入して検討を加えた。その結果、imprinting center前後でのメチル化には検体間で差が認められなかった。 3.CYP3A4基質であるミダゾラム、イトラコナゾールを被検薬とした健常成人男子による臨床試験を実施した。ミダゾラムおよび1,2-位水酸化体の血中濃度測定の結果、AUCで10倍程度の個人差が見られ、CYP3A4代謝能にばらつきを認めた。さらに、イトラコナゾールにおいても、水酸化体血中濃度測定の結果、同程度の代謝能の個人差を認めた。
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