研究課題/領域番号 |
17390043
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
家入 一郎 九州大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (60253473)
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研究分担者 |
大坪 健司 鳥取大学, 医学部附属病院, 教授 (80260701)
難波 栄二 鳥取大学, 生命機能研究支援センター, 教授 (40237631)
鰤岡 直人 鳥取大学, 医学部附属病院, 准教授 (50252854)
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キーワード | CYP3A4 / CYP3A5 / アレル不均等発現 / エピジェネティックス |
研究概要 |
1.アリル不均等発現:88742位のマーカーSNPに対してT allele、T-deletion alleleを一定の割合で混合したサンプルを用いたTaqMan-PCR法より、alleleの混合比(Tallele/T-deletion allele)と蛍光強度比(VIC/FAM)から検量線を作成した。TaqMan-PCR法による簡便で迅速な新規アリル不均等発現(AER)の診断法を確立した。2.臨床試験:ITZ投与群、MDZ投与群共にAERとの間に有意な相関は認められなかった。十分な検体数が確保出来なかった事が最大の理由であり、Nを増やした再試験が必要である。3.DNAのメチル化解析:CYP3A4遺伝子の上流に存在するimprinting control center(ICR)のCpG is land 82363-82893内14、15、16、17番目のCGsitesに注目した。14、16番目のCG siteにおけるDNAのメチル化頻度とCYP3A4mRNA発現量は有意な逆相関関係にあった。CYP3A4遺伝子発現制御には、ICRにおけるCpG island 82363-82893の14番目、16番目のCG siteのメチル化が重要であることが示唆された。4.ヒストンH3のアセチル化解析:CYP3A4遺伝子5'上流、3'下流、転写開始部位および、CYP3A4遺伝子発現との関与が報告されている転写因子の結合部位をターゲット部位とした。大部分のターゲット部位においてAnti-Ac-H3結合量に個人差が認められた。DNAのメチル化と同様、ヒストンのアセチル化状態においてもCYP3A4mRNA発現量との相関を検討した結果、Anti-Ac-H3結合量とCYP3A4mA発現量との間には、5'上流域を中心に有意な強い相関が認められた(p<0.001)。このことから、ヒストンアセチル化もCYP3A4遺伝子発現に寄与すると言える。5.DNAのメチル化とピストンH3のアセチル化の関連性:個人差が見られたICR内における4箇所のCG sitesにおけるメチル化頻度とCYP3A4遺伝子約2000 bp 上流におけるAnti-Ac-H3結合量との間に有意な強い相関が認められた(p=0.004)。このことから、ICRでのDNAのメチル化がCYP3A4遺伝子5'上流のヒストンH3アセチル化を介し、cis-actingなメカニズムによりCYP3A4遺伝子発現を制御している可能性が推測される。
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