研究課題
基盤研究(B)
1.アリル不均等発現:88742位のマーカーSNPに対してT allele、T-deletion alleleを一定の割合で混合したサンプルを用いたTaqMan-PCR法より、alleleの混合比(T allele/T-deletion allele)と蛍光強度比(VIC/FAM)から検量線を作成した。TaqMan-PCR法による簡便で迅速な新規アリル不均等発現(AER)の診断法を確立した。2.DNAのメチル化解析:CYP3A4遺伝子の上流に存在するimprinting control center(ICR)のCpG island82363-82893内14、15、16、17番目のCG sitesに注目した。14、16番目のCG siteにおけるDNAのメチル化頻度とCYP3A4mA発現量は有意な逆相関関係にあった。CYP3A4遺伝子発現制御には、ICRにおけるCpG island 82363-82893の14番目、16番目のCG siteのメチル化が重要であることが示唆された。3.ヒストンH3のアセチル化解析:CYP3A4遺伝子5'上流、3'下流、転写開始部位および、CYP3A4遺伝子発現との関与が報告されている転写因子の結合部位をターゲット部位とした。大部分のターゲット部位においてAnti-Ac-H3結合量に個人差が認められた。DNAのメチル化と同様、ヒストンのアセチル化状態においてもCYP3A4mRNA発現量との相関を検討した結果、Anti-Ac-H3結合量とCYP3A4mRNA発現量との間には、5'上流域を中心に有意な強い相関が認められた(p<0.001)。このことから、ヒストンアセチル化もCYPA4遺伝子発現に寄与すると言える。4.DNAのメチル化とピストンH3のアセチル化の関連性:個人差が見られたICR内における4箇所のCG sitesにおけるメチル化頻度とCYP3A4遺伝子約2000bp上流におけるAnti-Ac-H3結合量との間に有意な強い相関が認められた(P=0.004)。このことから、ICRでのDNAのメチル化がCYPA4遺伝子5'上流のピストンH3アセチル化を介し、cis-actinなメカニズムによりCYP3A4遺伝子発現を制御している可能性が推測される。
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