研究課題
基盤研究(B)
研究目的は、各種臓器の細動脈のPARsに対する反応性の相違を明らかにすることにあうた。4点をマイルストーンと定め、その達成度はおおむね満足いくものであった。1.血管平滑筋と内皮細胞の[Ca2+]i変動やNOの産生をイメージングできる細動脈〜終末細動脈の標本を、各種臓器で作製し、脳と精巣で反応性がなることを明らかにした。脳の細い動脈では、PAR1刺激で細胞内カルシウム濃度が上昇し、PAR2刺激でほ逆に下がることがわかった。太い動脈ではそれがおきない。また精巣ではこうした反応が生じなかった。2.msecレベルで生じる細胞内の素速い変化を画像としてとらえるため、高速リアルタイム共焦点顕微鏡用のプログラムを改良し、最新のos(Windows XP)で解析が可能となった。3.血管を構成する細胞(内皮細胞と平滑筋)のPARsのサブタイプを確かめ、そのサブタイプの相違が、[Ca2+]i変動パターンの違いを生じるかどうかを調べた。免疫組織化学的に受容体の存否を確認したところ、精巣の細動脈は殆どPAR1,PAR2が無いのに対し、脳の細動脈では発現が見られた。しかしながらカルシウム変動をきたさなかった太い細動脈でもPAR1と2が存在していたことから、この部で反応が見られないのは、カルシウム依存性細胞内情報伝達系へのリンクが通常では抑制されているものと思われる。なお、PAR2によるカルシウム濃度低下は血管平滑筋への直接作用か、あるいは血管内皮刺激によるNO等の因子を介する間接的なものか、今のところ判定できていない。4.血管内腔と標本周囲を別個に灌流して、PARsを活性化あるいは抑制するといわれる物質で、平滑筋と内皮細胞がどのような反応を示すか、イメージング法で検討を計画していたが、細い血管内腔の灌流法は未だに予備実験の域を出ていない。
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