研究概要 |
(1)トランスジェニックマウスやミュータントマウス・ラットを用いた甲状腺ホルモン作用の解析 a.先天性甲状腺機能低下ラット(rdw)において,一日の行動量が低下しているにもかかわらず,新奇性環境下では一過性の行動量上昇を示すことが明らかになった。(投稿準備中) b.RORα欠乏したミュータントマウス(staggerer)において神経栄養因子やその受容体の発現が低下しており,発現低下のパターンが先天性甲状腺機能低下動物と酷似していること(投稿準備中),一方,甲状腺ホルモン受容体(TR)ノックアウト動物ではRORαの発現が低下していることがわかった(論文発表済) (2)培養細胞を用いた甲状腺ホルモンによる転写レベルでの作用機構の解析。 a.中枢神経系における新たな転写共役因子として,SYTおよびJMJD2Aを同定した(論文発表済)。また,コアクチベーターのSRC-1がリガンド非存在下では甲状腺ホルモン受容体のN-末端に結合しており,受容体にリガンドが結合した際の迅速な転写活性化に備えていることを明らかにした(論文発表済)。 (3)PCBによるTRや他の核内受容体の転写制御,および神経細胞膜への作用機構の解析。 a.TRを介する遺伝子発現系への影響:PCBの作用メカニズムを解析するため,TRの各機能ドメインに変異を加え,PCBとの結合を解析すると共に,TRの変異がどのようにPCBの作用に影響するのか,さらにはPCB作用の細胞選択性に影響するのかを解析している(研究継続中)。 b.細胞膜レベルでのPCBの急性作用の解析:PCBは,L型カルシウムチャンネルを介して細胞内カルシウムを増加させる。また,このカルシウム増加を介し,c-Jun発現が増加することを明らかにした(論文発表済)。さらに,新規購入した顕微測光装置により細胞内カルシウムの経時的変化を測定中である(研究継続中)。
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