研究課題/領域番号 |
17390070
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
薬理学一般
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
宮崎 瑞夫 大阪医科大学, 医学部, 教授 (10047186)
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研究分担者 |
高井 真司 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (80288703)
金 徳男 大阪医科大学, 医学部, 講師 (90319533)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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キーワード | 肥満細胞 / キマーゼ / 血管新生 / 腫瘍 / VEGF / MMP-2 / MMP-9 |
研究概要 |
キマーゼは、肥満細胞顆粒中に含有するキモトリプシン様のセリンプロテアーゼであり、アンジオテンシンII(AII)を産生する。以前、我々は、動物モデルにおいてキマーゼが血管新生を促進することを発見したが、AH受容体拮抗薬(ARB)では抑制できなかった。このことは、AII以外の機序を介したキマーゼの血管新生に対する影響を示唆1するが、その因子が何かは不明であった。本研究では、キマーゼの血管新生における役割の解明とその適用の可1能性を明らかにすることであった。in vitroの実験として、ヒト血管内皮形成キットを用いてヒト精製キマーゼの細胞の血管内皮細胞増殖因子(VEGF)による血管内皮細胞の増殖・遊走を促進したが、その効果は、ARBでは抑制できなかった。また、このアッセイは、VEGFのみならずマトリックス分解酵素も関与するので、キマーゼによるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の影響を検討した。HT-1080細胞にキマーゼを添加した直後、培養上清のMMPL2の活性が有意に増加した。in vivoの実験として、ハムスター下肢血管を結紮する血管新生モデルにおいて、キマーゼは有意に下肢血流を増大させた。キマーゼはAHだけでなくMMP-2の活性化を介して血管新生を促進することを明らかにした。 次に、心筋梗塞後キマーゼの血管新生における役割を解明した。ハムスターおよびイヌの心筋梗塞モデルは、左冠動脈の結紮により作製した。キマーゼ活性は梗塞後1日より顕著に活性が増加した。ACE活性は梗塞後3日より有意に増加した。一方、MMP-9活性は梗塞後1日より、MMP-2活性は梗塞後3日よりそれぞれ有意に増加した。イヌのモデルでは、MMP-9の前駆物質がイヌ精製キマーゼにより直接活性化された。これらの結果から、キマーゼが心筋梗塞後急性期にAIIおよびMMP-9増加を介して血管新生に寄与する機序を明らかにできた。現在、キマーゼの心筋梗塞後直後の投与による血管新生への影響を検討している。
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