研究課題
1.相同組み換え機構に関与する新しい分子UBC13を同定し、その作用機序を解明(Mol Cell.Vol.25(5):663-75,2007)染色体DNA切断は、相同組み換えおよび非相同末端結合によって修復される。この修復反応は、ATMの活性化で開始される。すなわち、X放射線照射によってDNA切断が発生すると、1分以内に切断サイトにおいて様々なタンパク分子が、ATMによってリン酸化される。我々は、リン酸化と平行して、E2ユビキチンリガーゼ、UBC13によるユビキチン化が大規模に開始されることを見出した。このUBC13を人工的に欠損させた細胞では、相同組み換えによるDNA切断修復が全く始まらず、標的組み換えも全く検出できなくなった。UBC13がユビキチン化する基質の1つは、ピストンH2AXである。しかし標的組み換えにはピストンH2AX以外にも重要な未同定の基質が存在するはずである。今後、その基質を同定することを試みる。2.2重鎖DNA切断修復において非相同末端結合を抑制し相同組み換えを促進する因子の同定(Mol Cell Biol.2007 in press)染色体DNA切断は、その発生の仕方によって、相同組み換えと非相同末端結合との、どちらの経路によって修復されるかが決まる。非相同末端結合はX線によって生じた切断を優先的に修復する。一方、複製時に発生したDNA切断は、ほぼ100%相同組み換えによって修復される。本研究によって、Rad18(E3ユビキチンリガーゼ)とPoly[ADP ribose]polymeraseとが、非相同末端結合を抑制することによって間接的に相同組み換えを促進することを解明した。これらの遺伝子破壊株では、標的組み換え効率も低下していた。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (8件)
Mol Cell Biol 27
ページ: 2812-2820
Mol Cell 25
ページ: 663-675
ページ: 2562-2571
DNA Repair (Amst) 5
ページ: 741-749
Mol Cell 23
ページ: 265-271
ページ: 1021-1029
Mol Cell Biol 26
ページ: 8892-8900
Mol Cell 24
ページ: 115-125