研究概要 |
われわれは、これまでの研究で低分子量G蛋白質Rhoの標的分子で、酵母から真核細胞に広く保存され、細胞質分裂・細胞極性に重要な働きをするForminファミリータンパク質の1つ、mDia1について、細胞内分子動態を蛍光分子イメージングで観察することで、秒速2マイクロンの高速で分子移動を行うことを発見した(Science vol.303,pp2007-2010,2004)。更に、mDia1の分子移動が細胞内のアクチン重合速度に一致すること、また、インビトロでの再構築系を用いミオシンモーターに依存しないことを証明した。われわれのこの発見は、伸長を続けるアクチン線維の速い伸長端である反矢じり端に連続的に結合したまま、プロセッシブに移動する新規分子機構存在することを世界に先駆け見出した成果である。 上述した論文において、外部から微量注入によって投与したリコンビナントのRhoタンパク質が、mDia1の分子内の結合を解裂されるメカニズム(Watanabe et al. Nat.Cell Biol.1999)によってmDia1を活性化することで、アクチン線維端でのプロセッシブ分子移動を引き起こす現象を細胞内でわれわれは確認した。本研究では、その知見をもとに野生型である全長mDia1のGFP標識体の分子運動を追うことで、Rho-mDia1のシグナルの作用機構を細胞内で捉えることを取り組んでいる。また、mDia1を含む複数のForminファミリーのアクチン重合駆動モーター的性質が生細胞内でどのように働くかについて、分子イメージングを中心とした手法によって解明を進めている。現在までに、ある細胞骨格の変化に伴い、野生型mDia1が活性化され分子移動を開始する像を捉えつつあり、新規のRho-mDia1シグナルの制御様式の可能性について、その生化学的・分子機序的な性質について検証を進めている(投稿準備中)。
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