研究課題
哺乳動物細胞におけるDNA損傷あるいはDNA複製完了をモニターし、細胞周期進行を制御する分子機構を明らかにする目的で、Chk1キナーゼの欠損細胞を作製しその表現型を解析した。Chk1は細胞の生存そのものに必須であり、かつDNA損傷あるいはDNA複製チェックポイント活性化における細胞周期G2/M期停止に必須であった。コンディショナルChk1欠損細胞の解析から、Chk1の機能不全はS期でのサイクリンB/Cdc2の活性化を引き起こし、この活性化がDNA損傷(特に二重鎖切断)を誘導して分裂破局を引き起こすものであった。DNA損傷はDNA損傷チェックポイントを活性化し、最終的にp53タンパク質の安定化を引き起こした。安定化したp53はミトコンドリア経路を介してカスパーゼを活性化し、細胞にアポトーシスを誘導することが明らかとなった。この細胞死は特異的阻害剤を用いた結果から、サイクリンB/Cdc2の活性化が必須であり、またp53欠損細胞を用いた結果から、機能的p53の存在が重要であることが明らかとなった。これらの結果は、分裂破局がチェックポイントを逃れた不安定な染色体を持つ細胞を取り除く新たなチェックポイントであることを示唆している。
すべて 2007 2006
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