研究課題/領域番号 |
17390090
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
佐藤 博 金沢大学, がん研究所, 教授 (00115239)
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研究分担者 |
滝野 隆久 金沢大学, がん研究所, 助教授 (40322119)
宮森 久志 金沢大学, がん研究所, 助手 (30345631)
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キーワード | MT-MMP / アポリポプロテインE / 炎症性疾患 / 癌 / APP / セレクターゼ / Fe65 / 転写活性化 |
研究概要 |
膜型マトリックスメタロプロテアーゼ-1(MT1-MMP)はがん、炎症性疾患においてその発現が著しく亢進することからこれら疾患に密接に関わっていると考えられる。MT1-MMPの機能を明らかにする目的で独自に発現クローニング法を開発し、新規基質および調節因子の探索を行い以下の分子を同定した。 1.MT1-MMPの新規基質としてアポリポプロテインE(ApoE)を同定した。ApoEは脂質代謝の制御以外にも血管平滑筋の細胞増殖や細胞運動を阻害する事が報告されている。実際にリコンビナントApoEはHEK293T細胞の増殖を抑制したが、MT1-MMPによるその分解はApoEによる細胞増殖抑制活性を喪失させた。よってMT1-MMPによるapoEの分解は、apoEによって阻害されていた血管平滑筋の細胞増殖や細胞運動能を回復させ、創傷治癒の重要なステップである組織再構築の促進に貢献することが示唆された。 2.MT1-MMPの新規基質としてアミロイド前駆体タンパク(APP)を同定した。MT-MMPファミリーの内、脳で特異的に発現するMT3-MMP,MT5-MMPも同様に細胞表面のAPPを切断・シェディングした。APPのMT-MMPによる切断点4箇所を同定したが、その1箇所はベーターアミロイドペプチド配列内であった。すなわちMT-MMPはAPPのアルファーセクレターゼであった。しかし、MT3-MMPによる細胞表面APPの切断・シェディングにもかかわらずベーターアミロイドの産生は低下しなかった。また、APPのアダプタータンパクFe65存在下で起こるAPPによる転写活性化はMT3-MMPにより著しく亢進した。すなわちMT-MMPは転写活性化能を含むAPPの機能の調節に関与することが示唆された。
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