研究課題/領域番号 |
17390097
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
赤池 孝章 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (20231798)
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研究分担者 |
有本 博一 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (60262789)
澤 智裕 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (30284756)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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キーワード | 一酸化窒素 / 8-ニトログアノシン / 8-ニトロcGMP / シグナル伝達 / S-グアニル化 / 翻訳後修飾 / 遺伝子変異 / 酸化ストレス |
研究概要 |
感染・炎症において過剰に生成されるスーパーオキサイドや一酸化窒素(NO)などのフリーラジカルが、遺伝子の化学修飾をもたらし、病原体や宿主の変異と進化を促進し、感染病態発現に密接に関わることが示唆されている。本研究では特に、NOに由来するユニークな核酸修飾塩基8-ニトログアノシンに注目し、その生体内生成ならびに生物活性について解析し、以下の結果を得た。 1.8-ニトログアノシンが、真核細胞に対して遺伝子変異を誘発することが分かった。すなわち、CHO細胞を8-ニトログアノシン処理すると、マーカー遺伝子であるgpt遺伝子に対して高頻度にG→T transversionが観察された。また、この時、CHO細胞のゲノム中に有意に高い脱塩基部位が検出された。 2.特発性肺線維症患者および肺扁平上皮癌組織において8-ニトログアノシン生成が著明に亢進していることを明らかにした。また、喫煙者の尿中に高濃度の8-ニトログアニンが検出され、喫煙により生体内でグアニンニトロ化が亢進していることが示唆された。 3.8-ニトログアニン誘導体として、全く新規の環状ヌクレオチドである8-ニトログアノシン3',5'-環状1リン酸(8ニトロcGMP)の細胞内生成を世界で初めて証明した。さらに、8-ニトロcGMPは、蛋白質のチオール基と反応してcGMPアダクトを生成する反応(S-グアニル化)をもたらし、これが新しい翻訳後修飾として細胞の酸化ストレス応答のシグナル制御に関わることを見出した。 以上より、NOによるグアニンのニトロ化は、遺伝子変異をもたらすこと、さらには全く新しいシグナル伝達機構として細胞機能の制御に関わることが明らかとなった。
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