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2006 年度 実績報告書

ネトリンとネトリンレセプターによる細胞死の制御とヒト癌細胞でのその破綻について

研究課題

研究課題/領域番号 17390098
研究機関国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター)

研究代表者

荒川 博文  国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 生物物理部, 部長 (70313088)

キーワードネトリン / ネトリンレセプター / アポトーシス / 細胞死 / p53 / 細胞死抑制 / カスペース / 神経軸索誘導
研究概要

ネトリンとそのレセプターは、個体発生の過程における神経細胞の軸索伸長反応において重要な働きをする神経軸索誘導関連分子であるが、一方で、細胞死の制御に深く関わる事実が明らかとなっている。我々はネトリンとそのレセプターによる細胞死制御のメカニズムの解明と、ヒトがん細胞におけるネトリン・ネトリンレセプター経路の破綻について研究を行った。ヘパリンカラムで精製した生理的なヒトネトリン蛋白質を用いて実験を行い、ネトリンがアデノウイルスで導入された外来性p53の過剰発現によるp53誘導性のアポトーシスを完全に抑制する事実を見出した。この時、p53蛋白質は細胞内で正常に発現し、Noxa, PUMA, BAXをはじめとしたアポトーシス関連p53標的遺伝子やp21/WAF1, p53R2,MDM2など調べたすべてのp53標的遺伝子の発現誘導が観察され、p53による標的遺伝子の転写活性化は全く正常に起こっていた。一方で、p53依存性アポトーシスに重要とされているカスペース9やカスペース8,さらにはカスペース3の活性は完全に抑制されていた。また、細胞死抑制シグナルに重要とされるAKTのリン酸化やFAKのリン酸化はむしろネトリン添加群で低下していた。このネトリンによるアポトーシス抑制作用をメディエートすると考えられる候補ネトリンレセプターを複数同定した。これらのレセプターは神経細胞以外でのネトリンによる細胞死抑制シグナル伝達に重要な働きをしていると考えられた。これら新規ネトリンレセプターの異常が、正常細胞の不死化や、癌細胞における抗癌剤誘導性細胞死の耐性機序に深く関わる可能性がある。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Possible role of SEMA3F, a candidate tumor suppressor gene at 3p21.3, in p53-regulated tumor angiogenesis suppression2007

    • 著者名/発表者名
      Futamura M et al.
    • 雑誌名

      Cancer Research 67・4

      ページ: 1451-1460

  • [雑誌論文] Identification of p53-46F as a super p53 with an enhanced ability to induce p53-dependent apoptosis2006

    • 著者名/発表者名
      Nakamura Y et al.
    • 雑誌名

      Cancer Science 97・7

      ページ: 633-641

  • [雑誌論文] The potential role of DFNA5, a hearing impairment gene, in p53-mediated cellular response to DNA damage2006

    • 著者名/発表者名
      Masuda Y et al.
    • 雑誌名

      Journal of Human Genetics 51・8

      ページ: 652-664

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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