研究課題
内胚葉系幹細胞の分離同定に成功した。この研究においては熊本大学附属病院において手術の際に唾液腺を切除する患者から、インフォームドコンセントをえて協力していただき、ヒト唾液腺からの幹細胞の分離を試みた。その結果、常費用形態を示し、細胞表面にCD49Fを発現する特殊な細胞を分離培養することが出来た。この結果、この細胞は肝臓細胞へ分化可能な細胞であることが判明した(Sato, Endo et al. in press)。同時に3次元培養方法を確立した。この新しい方法ではヒト唾液腺から高い効率で高度に純化された細胞をうることが出来た。この方法で純化した細胞は増殖力に優れ、肝臓および膵臓細胞への分化能力を有していた。さらに、細胞表面マーカーを検索したところ、げっ歯類およびブタ唾液腺から得られた内胚葉系幹細胞ときわめて類似していた。ブタ唾液腺からも新規の未熟な細胞の分離に成功した。この細胞は付着せずに分散培養で増殖する点でこれまでの幹細胞とは大きく異なっている。同時に、きわめて未分化な細胞であることが、遺伝子発現解析において確認された(Matsumoto, Endo et al. in press)。この未熟な細胞は未熟性を維持したままに増殖することが可能である。これらの新規方法の開発によって少数の幹細胞を内胚葉系への分化能を維持したまま単一クローンを得ることにも成功した。免疫不全マウスに対してヒト幹細胞の移植実験も行った。その結果、ヒト唾液腺由来内胚葉系幹細胞はマウス肝臓で増殖可能であることが判明した。この方法で、糖尿病マウスへの分化細胞の移植により糖尿病の治療にも成功した。
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Cloning and Stem Cells (In press)
Molecular Genetics and Metabolism 89
ページ: 203-209