ZFAT(18個のC_2H^2型zinc-finger motifと1個のAT-hook motifを含む)は自己免疫性甲状腺疾患(AITD)の感受性に関与する分子として同定されたものであり、その構造から転写因子と考えられる。ZFATネットワークの解明のために、発現アレイ解析とZFAT-DNA相互作用解析を柱とする解析を実施し、以下のような研究成果を得た。 I.発現アレイ解析の確立とZFAT候補標的遺伝子群の同定: 発現アレイ解析を、Affymetrix GeneChipシステムで稼働させ、発現アレイ解析システムを確立させた。ZFATを過剰発現させたマウスpro-B細胞株(BaF3)とコントロール細胞(BaF3)と比較した結果、発現差1.5倍以上(P<0.1)を示す遺伝子を、ZFAT過剰発現株で221個同定した。Gene ontology解析により、これらの遺伝子群には免疫関連遺伝子が高頻度に含まれることを見出した。 II.ZFAT-DNA相互作用解析: (1)ZFATのDNA結合性:PCR-assisted binding selection法で、マウスZFATのN末端側断片でのDNA結合活性を見出し、T配列に富む6種類の候補標的配列を同定し、更にうち2つの配列は上記ZFATタンパク断片と相互作用することを、レポーターアッセイ系で確認した。 (2)ZFAT標的ゲノム部位同定のためのChIP法の条件検討:独自に樹立した抗ZFATモノクローナル抗体(11クローン)について、ChIP法でのクロマチン変性処理後の抗原認識能についてIP-western法で評価し、ChIP法に利用できると考えられるモノクロナール抗体を同定し、BaF3細胞を材料にChIP法を行い沈降DNAを得ることに成功した。
|